点から線、線から面に向って(一) めだか論語普及会 顧問 小谷 忠延
 八雲論語教室という、点から始まった、めだか論語普及会が八年経った今日、線から面に広がりはじめた様に感ぜられるようになりました。
松江、出雲、平田、安来、と気がつけば出雲地方全体に広がりを見せてまいりました。伊與田先生によって産み出された「仮名論語」を一ページ、一ページと素読することを専らに、私達の論語教室は終始いたしております。
 四年前になりますが、私の友人の井上さんという方が奥出雲町の町長に就任されたのがきっかけとなり、「この町を論語の声が聞こえる町にしてほしい。」という要請を受け、町の六ヶ所の幼児園(保育所と幼稚園が合併)の年長組、学童保育の学童達に論語の素読を体験していただいています。この町では、大人の教室も三地
域で始まり、一教室は六、七人と出席者は少ないですが、これもすでに四年続いています。
 このように書いておりますと、すべてが、順風満帆に推移しているように聞こえるのではないかと思いますが、決してそうではありません。論語の最後の一ページを読み終えた後、次の段階をどのように進めるべきか。「中庸」「大学」「孝経」「孟子」といった、他の教材に入って行くのが常道なのか、再読なのか、色々考慮すべき点があるように思います。試行錯誤はしばらく続きそうであります。
 めだか論語普及会では、これまでに、村下好伴先生には二度、安岡定子先生には三度、湯浅邦弘先生には一度、閑谷学校の國友校長先生にも一度、出雲地方にお越しいただき、訓導を賜りました。非常に有意義な体験をさせていただいております。今日、会の運営は、塾生、会員方の会費により、各教室からの有志の方々、主として女性の方々の奉仕により行っていただいております。いつまでも、こんな状況でよいわけがありません。恒常的な組織運営が出来る体
制を創る必要があります。今はただ、事務局を運営管理されている女性方に感謝するのみです。
 一月からは、地元新聞社の文化教室で論語教室がはじまります。講師はむろん私です。
 次回からは、各地域、各教室などでの特色や、エピソードもお伝えしてまいりたいと存じます。賢識読者の皆様からのアドバイス、ご助言を承ればと存じております。
「人の生涯、何事によらずもう終いと思う勿れ、今だ曽って、始めらしき始を持たざると思うべし。」
      (安岡正篤書、先哲遺言より引用)

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