孔子と諸先生方に導かれて(第十一回) 論語との出会い 本会理事 宮武清寛
 私は昨年三十年勤めた新井組を十月十日付けで退社し、十月十一日よりハウスクリーニングの会社㈱ケントクにお世話になっています。ケントクとは「謙譲の徳」譲り合い、認め合う「忠恕」の心を大切にする会社です。十一月二十三日念願の「西宮掃除に学ぶ会」を立ち上げました。便器を磨いて自分の心を磨く。「凡事徹底」西宮の地にささやかな一灯を燈しました。十二月二日「福祉住環境サポートセンター」というNPOが認証されました。建築士としてお年寄りや障害者・身障者の住環境整備の手助けをしたいと思っています。十二月五日一級建築事務所「えんじん」を設立しました。えんじんとは、多逢聖因・縁尋機妙の「縁尋」です。そして、えんは円、ま○る、円陣、輪、和につながります。十七条憲法第一条「和」をもって貴しとなす。じんは「仁」子曰く、能く五つの者を天下に行うを仁と為す。恭・寛・信・敏・恵なり。これは伊與田先生からいただいた論語の一章です。又、いろんな会にあって自らが中心となり力強く皆を導く推進力「エンジン」となる。そんな願いを込め名付けました。そして、十二月十九日五十歳を迎えました。
 これから「天の命ずる道を行く」縁尋機妙の旅が始まります。今後ともよろしくお願いします。
 
 これは平成十五年の年賀状の文面です。それから十三年、振り返れば波乱の連続です。
 「㈱ケントク」は自分の力及ばず自ら去りました。「西宮掃除に学ぶ会」「西宮えびす読書会」は今も続いていますが私は現在参加できていません。「福祉住環境サポートセンター」も自然消滅。十六年自ら立ち上げた「住まいるトータルサポートセンター」も四人居た社員は去っていき気が付けば私一人でした。事務所は閉鎖。十八年末から縁があり土木系サブコン「山崎建設」に入社しました。しかし、二十年十月には新井組に連鎖し会社更生手続きを開始、半年後に建設事業を清算、私は退社する事になりました。二十一年五月友人経営の「ホテル」が神戸でオープン、そこに転がり込み、フロントにも立ち、レストラン・イベント誘致・ナイト勤務・支配人クラスの仕事もしました。そこではホテルマンとして沢山の経験をさせていただき、又楽しい日々でもありましたね。
 しかし、私は建築士でした。友人達は色々就職先の世話を焼いてくれました。二十三年七月その一つ芦屋の「八木建設」に入社、リフォームを始めたばかりの会社です。建築は住宅に始まり住宅に終わります。私も最後はお客様と一緒に良い住環境を創って行きたいと思っていましたが業績は上がりません。その「八木建設」も事業縮小、一年後二十四年九月には神戸市の「㈱おがわ」というリフォーム会社に移りました。創業嘉永二年という長く続いてきた会社です。いい経験をさせていただきました。辛抱の甲斐があり昨年は一番の営業成績も上げることが出来ましたが、社長とは経営に関する考え方が一致することはありませんでした。いつかはここから去る時がくるという予感は当初からありましたが、その転機が訪れました。
 今年の六月から、大阪市内の「サンコー物産」でリフォーム事業を立ち上げるお手伝いをしています。新規事業に夢はありますが、成功の確信はありません。又、新しい旅が始まったばかりです。
 「天の命ずる道を行き」、私の夢を実現する放浪の旅はまだまだ続きそうです。

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