孔子と諸先生方に導かれて(第八回) 論語との出会い 本会理事 宮武清寛
 新暦九月二十八日は世界各地の孔子廟において、孔子の誕生日を祝う「孔子祭」が行われます。
 論語普及会では、伊與田学監と孔子七十七代直裔孫孔徳成先生とのご縁で、毎年台湾の台北孔子廟で行われる「釋奠」に参列してきました。昨年で四十一回となっています。
 私は平成十九年に始めて台北の釋奠にも参列しました。私にとって初めての孔徳成先生との出会いでしたが結果的には最後になってしまいました。私はこの年から昨年まで毎年欠かさず九回釋奠参列旅行に参加しています。 
 平成二十一年からは紋付袴姿での参列です。
 台北の孔子廟は台北市直轄の孔子廟で毎年政府主催の祭事が開催され、正献官は台北市長が勤め、民政局長が糾儀官、市政府の所長や各学校の校長、優良な教師なども献官や陪祭官などに扮し、祭典を盛り上げます。そして孔家の当主が奉祀官を勤めます。近年は世界各国から招待された人たちも献官や陪祭官に扮し参加しています。もちろん論語普及会の代表も参加してきました。
 「八佾庭に舞わしむ」、釋奠での一番の見所は、右手に雉の羽、左手には笛を持ち、明の時代の服装、黒と金で縁取りされた黄色いシルク生地のものに、緑色のベルト、頭には黒色のものを巻き、
黒のブーツといういでたちで子供たちが舞う「八佾の舞」です。古代中国の雅楽に合わせて舞うそれは私の拙い文章では表現できません。皆さんには直に味わっていただきたい世界です。
 平成二十五年からは、孔徳成先生のお墓参りをしています。先生は桃園空港の近くの山峡鎮龍泉
墓園に埋葬されています。曲阜の孔林は城壁に囲まれた広大な墓域の中で、墳丘の前に大成至聖文宣王墓と書かれた碑がありますが、それとは異なり台湾式なのでしょうか、山の中腹に大きな壁を設け、そこに黒御影石に「儒林垂範」と刻んだ墓碑が埋め込まれ、その前に御影石の基壇が設けられていました。徳成先生は曲阜の孔林に帰るまでの間、そこでお眠りになっているのでしょう。
 私達が、釋奠参列以上に楽しみにしていたのは、長い間親交を深めてきました、王宇清・楊喜松・戴文郎先生方との食事会でしたが、王先生・楊先生がお亡くなりになり、戴先生もお体万全でなくもはや実現できません。しかし慣例となっている、孔家の人達との昼食会は孔垂長夫妻のご出席により毎年和やかなひと時を過ごす事ができます。
 昨年伊與田先生の百歳のお祝いには大阪まで来ていただけた、若き孔家の当主、孔子七十九代直裔孫孔垂長先生と論語普及会の新しい歴史が始まったような気がするのは私だけでしょうか。
 伊與田先生をはじめ諸先生方が築きあげていただいた、この伝統は、何時までも、何時までも継続していかなければいけません。微力ですがその一助を担っていければ私にとってそんな幸せな事はありません。
 そして、今年も九月二十六日から二十八日の予定で行います。皆さんも参加しませんか。貴重な体験が待っていますよ。

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