孔子と諸先生方に導かれて(第一回) 論語との出会い 本会理事 宮武清寛
 今年の論語漫遊を担当させていただきます。論語普及会理事の宮武清寛と申します。浅学で拙い文章しか書けませんが、一年間よろしくお願いします。
 私の論語との出会いは、平成十一年三月の成人教学研修所創立三十周年大会で「仮名論語」を購入した時に始まります。
 しかし、読み進む事は出来ませんでした。所謂積読だけでした。そして、その年八月に参加した西宮木鶏倶楽部の中国旅行。行き先は中国山東省曲阜です。
 三孔といわれる孔府・孔廟・孔林を拝観し、多くの人たちが高山を仰ぎ見るが如く集う大成殿の前で「学而第一」を素読しました。
 その時、私は雷のような閃光を全身に浴び、一瞬金縛りにあったようでその場に立ち尽くしてしまいました。
 私と、孔子の出会いの瞬間です。私が求めていたのはこれだ「論語」だったんだ、とその時思いました。
 「高山は仰ぎ見るべく、大道は行くべし」たとえ到達できなくても、心はこれに向かって進み行くべきだということを指し示してくれたのでしょうか。
 旅行から帰って来てすぐ九月から神戸の論語を楽しむ会に参加しました。
 私は幸せ者だと思います。振り返って見ると論語に出会った当初の周りの人たちに導かれて今の私があるようです。論語を楽しむ会の会長は論語普及会の長谷川顧問、世話役は仁出川さん岡野さん、そして講師が村下会長でした。
 眞鍋槙夫先生との出会いもこの時期です。平成二十年に亡くなるまで郷友会を自宅で開催していただき、奥様にはご迷惑をかけっぱなしでしたが充実した講義をしていただきました。手書きのテキストは宝物の一つです。
 平成二十三年の先哲祭の水戸光圀・昨年の師道研修の司馬遷の話では眞鍋先生の手書きのテキストを引っ張り出し読み直しました。講義中にも先生が背後から背中を押してくれていると言うような安心感を持って話をする事ができ、感謝しています。
 仁出川さんに、四條畷の成人教学研修所に始めて連れて行ってもらったのは次の年九月の先哲祭です。ここで伊與田先生に出会いました。
 その日から十五年が経過しています。私は今何十年も先生の薫陶を受けて来ているような気がしています。
 伊與田先生は言っています。「孔子の夢を引き継いで、夢見たのが曽子であり、孟子である。それから二千数百年、無数の大馬鹿者が夢見てきたが、未だ果たされない。しかしその夢のある限り人類は永遠であろう。」と。
 私もその無数の大馬鹿者の一人に数えられたい。そんな思いを持って、高山を仰ぎ見、仮名論語普及の大道を歩いていく所存です。

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