第九回 「心学修正舎の再興」 京都・衣笠三省塾塾主 長野 享司
 衣笠三省塾もようやく軌道に乗り、週一回が二回となりやがて週三回の開講となり、忙しく又楽しい日々を過ごすことができるようになりました。村下会長も激励に来てくださいました(論語の友百八十一号、二〇〇七年二月号に掲載)。また論語普及会のご縁で愛知文教大学学長(当時)故坂田新先生も来てくださいました(論語の友百八十九号、二〇〇七年十月号)。やがて塾生の一人が地元でも開きたいとの熱意を受け、京都の隣町である亀岡市でも開くようになりました(論語の友二百三十四号、七月号)。
 亀岡と言えば当欄で何度もお話ししている石門心学の開祖石田梅岩先生の生誕地です。そして子孫の石田さんという方が今もその地でご健在であることも知り、お訪ねすることもできました。論語を通して世界がどんどん広がっていきます。
 そのような折に「心学修正舎」という会を再興したいとの話を聞き、「我が意を得たり」とばかりに参加いたしました。
 江戸時代の京都には石門心学の中心とも言うべく「明倫舎」「修正舎」「時習舎」などがありました。その後、あちらこちらで勉強会が開かれ全国に広がりました。修正舎は長く活動を続けていたのですが、昭和の中ごろから休止状態になっていました。しかしそのような時代になっても心学の火を護ってこられた方に「伊勢藤」(現社名イセトー)という会社の小谷達雄さんという方がおられました。経営方針を心学に託して来られた方で、その影響を受けた有縁の方々が発起人となり、二〇一一年現代の世に再興されたのでした。
 この「石門心学」が消えそうになりながらも、決して消えない強い力を持っていることに驚きました。なんと全国には心学を学ぶ会が現在でも多くあるのです。今述べた京都の明倫舎、修正舎、そしてお隣の大阪では「心学明誠舎」が途切れることなく熱心に活動を続けておられます。お膝元の亀岡には石田梅岩先生顕彰会があり多彩な活動が行われています。
 心学修正舎は月一回京都のど真ん中、築百五十年の京町家で例会を開催しています。心学では、例会のことを「会輔」と言います。私も最初は変わった言い方だなと思っていたのですが、これは論語顔淵編の「曾子曰く、君子は文以て友を会し、友以て仁を輔く」から来ていることを知り、それ以来ただ集まっているだけではなく、お互いに「仁」を磨き合いたすけあう場にしなければと意気込んでおります。どうぞ一度お越しください。三百年前と同じく聴講無料、どなたでも歓迎です。
※心学修正舎 会輔 
 毎月第二火曜日
 午後六時?八時
 京都市中京区新町蛸
薬師上る西側 吉田家
(目印に提灯あり)
 詳しくは心学修正舎ホームページも参照してください。

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