今月の論語 (2024年1月)
修己安人(しゅうこあんじん)

己(おのれ)を脩(おさ)めて
以(もっ)て人(ひと)を安(やす)んず。

脩己以安人。
(憲問第十四、仮名論語二二四頁)

〔注釈〕子路が君子の条件について尋ねたところ、先師は「自分の身を修め、人を安んずることだ」と答えられた。

会長 目黒泰禪

 謹んで新春のお慶びを申し上げます。

 昨年は、新型コロナウイルスが五月八日から感染法上の5類となり、活学研修会と温習会、台北孔子廟釋奠参列も、また世直し祈願萬燈行、先哲祭、金蘭研修会等の諸行事も以前同様に多くの会員皆様のご参加を戴きました。誠に有難う御座いました。また基盤強化委員会の提言による若い世代のrongo-fukyukaiインスタグラムやフェースブック投稿が始まりました。是非ご期待下さい。

 孔子は弟子の子路から指導者の条件を問われ、「自分の身を修め、人を敬うことだ」と答えられた。子路が更にそれだけでしょうかと問うので、「自分の身を修め、人を安んずることだ(修己安人)」と答えられた。子路がなおもそれだけでしょうかと問うと、孔子は「己を修めて天下の民を安んずることだ。天下の民を安んずることは、堯や舜のような聖天子でさえ、難しいと頭を悩まされたことだ」と答えられた。

 世界各国の指導者に、今一度、この言葉を噛みしめて戴きたい。ロシアのウクライナ侵略とイスラエル軍のガザ侵攻が続き、更には台湾や朝鮮半島有事も懸念され、中東やアフリカ諸国の民族・宗教間の紛争も未だ収まらない。果たして各国の指導者は、民族や国家そして宗教の違いを乗り越え、人間の尊厳を守り、どうすれば世界を安寧に導けるかに心をもちい行動できないのであろうか。

 世界の一人一人、我々も含め「修己安人」の存在になるよう日々研鑽しなければならないが、国の指導者には必ずや「修己安人」の人格者を選出したいものである。

 本年も役員一同、気を新たに斯道発揚のため一層の精進を致す所存で御座います。何卒ご仁援の程宜しくお願い申し上げます。

君子こそ 敬もて修め 更に又 人をも民も 安ずる人
(見尾勝馬『和歌論語』)

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