今月の論語 (2023年1月) |
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四海困窮(しかいこんきゅう)
允(まこと)に其(そ)の中(ちゅう)を執(と)れ。
四海(しかい)困窮(こんきゅう)せば、
天祿(てんろく)永(なが)く終(お)えん。
允執其中。四海困窮、天祿永終。
(堯曰第二十、仮名論語三〇七頁)
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〔注釈〕(堯帝が天子の位を舜帝に禅(ゆず)られたときに言われた)「まことに過不及なき中庸の道を執って政を行え。もし四海を困窮させることがあれば、天の恵みは永久に断続するであろう」
会長 目黒泰禪
謹んで新年を賀し申しあげます。旧年中のご仁援に深く感謝致しますと共に、皆様の一層のご健安をお祈り申しあげます。
「人々は困窮し、死に瀕(ひん)している。全ての生態系が崩壊しはじめ、私たちは大規模な絶滅を前にしている」。十六歳のグレタ・トゥーンベリさんが涙を浮かべて各国首脳に訴えたのは、二〇一九年九月二十三日、国連本部の気候行動サミットである。それから三年、COP27(二〇二二年十一月、第27回国連気候変動枠組み条約締約国会議)では世界が協調しなければならないにも拘らず、ロシアのウクライナ侵略によるエネルギー危機で各国が化石燃料資源の確保に奔走。「地球の気温上昇を産業革命前に比べ1.5度以内にする」という目標は遠のいた。もはや平均気温は1.1度上昇し、熱波や干ばつ、洪水による飢饉が頻発している。北極圏の氷河やシベリヤの永久凍土の溶解でウイルスや菌が流れ出し、新たな疫病の危殆に瀕している。
氷河(こほり)とけ 着ぐるみのごと
白熊は 営みの火に 黙(もだ)りをる贄(にへ) 和子
気候変動対策はもう待ったなしである。指導者の欲望のために戦争をしている有余はない。『論語』にある「四海困窮せば、天祿永く終えん」(堯曰篇)と諭す器識ある側近は居ないのか。強権国家では、諫言には粛清、批判には拘束。「白い紙」を掲げ続けるしかない。
中道を 執(と)らずば民も 困しまむ 民苦しまば 祿奪はれむ
(見尾勝馬『和歌論語』)
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