今月のことば (2016年7月)
子曰わく、周は二代に監みて、郁郁乎として文なるかな。
吾は周に從わん。(八佾第三)
子曰、周監於二代、郁郁乎文哉。吾從周。
(八・第三・仮名論語・二十九頁)
 
〔注釈〕周はそれ以前の二代(夏・殷)の王朝に比べて、実に美しくさかんな文化を成しとげている。私はそ
の秀れた周の礼制文化に從いたい。

 孔子がこの世に生を享けたのは、今を去る二千六百年ほど前に出た人である。史記などの歴史書を覧ると、それまではさすがに中国は揺籃期の感を免れない。孔子は徹底した実証主義者であり、"二代に監る"とは、いかに自国の歴史を渉猟し、探求したかを伺い知ることができる。論語爲政篇にも"故きを温ねて新しきを知る、以て師と為るべし"とある。戦前の小学校教育では、国史(日本歴史、国語を含め)を学ぶ時間が数時間に及んだが、終戦後は大幅に削られた。これは一に日本民族のエネルギー源を絶とうとした、占領政策の一環、いや主目的政策であったように思える。根なき木は育たぬ。テレビや小説等によりだいぶ復活の兆しは見えて来ているが、まだまだの感がする。日本独自の信仰形式たる神道の精神に基づいた歴史教育の復活を切望して已まない。

論語普及会副会長 村下好伴

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