今月のことば (2014年12月)
子貢、友を問う。子曰わく、忠やかに告げて善く之を導き、
不可なれば則ち止む。自ら辱めらるること無かれ。 (顔淵第十二)

子貢、問友。子曰、忠告而善道之、不可則止。無自辱焉。
(顔淵第十二・仮名論語一七八頁)
〔注釈〕孔子の弟子の子貢が、交友に心得るべき要諦について教えを乞うた。それに対し孔子は次のように答えた。「真心をこめて忠告し、善い方へ導いてやることだ。しかし相手がそれを聞き入れる様子が無ければ、仕方がないから一応止めて相手の様子を見守っておくことだ。いかに親切心からであってもあまりしつこくすると、却ってうるさがられて辱めを受けることにならないともかぎらぬ」と。

 人生において友ほど潤いを受ける存在はない。孔子はおそらくよき信友・親友を得ておったことと察せられる。
〝君子の交りは淡として水のごとし?
 いくら相手を思い、親切心からであっても、五月蠅がられてはもともこも無い。
 それにしても孔子という人は、よくよく苦労人とみえる。人の心の微妙な動きを、斯くも的確に表現するとは……。
〝同心の言はその臭蘭のごとし?
 こうありたいものである。

論語普及会会長 村下 好伴

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