今月のことば (2014年4月)
子曰わく、歳寒くして、然る後に松柏の彫むに後るるを知るなり。
(子罕第九)
子曰、歳寒、然後知松柏之後彫也。
(子罕第九・仮名論語一二四頁)
〔注釈〕厳寒の中、他の木々が葉を落とし冬枯れの様相を呈する中で、松や柏は彫むことなく緑を止めているのがわかる。
 春は名のみの風の寒さや
 谷の鶯歌は思えど
 時にあらずと声も立てず
 時にあらずと声も立てず
 
 周知の大正二年吉丸一昌作 童謡「早春賦」一番の歌詞である。
 本年三月六日は二十四節気の一つ啓蟄、この日を一名“地虫穴を出”とも云い、冬眠中の地虫たちが外気を察知して地上に顔を覗かせる頃だ。
 小鳥たちも秋にみのった山野の木の実などを喰い尽くしたのか、庭の南天や千両万両の実を失敬しに降りてくる。
 こんな中、東北地方の猛吹雪の様子が映じ出されていた。
 大震災からはや三年、いまだ仮設住宅に身を寄せる被災者の方々、それも大部分が高齢者で一人二人暮らし、先行きの不安は察するに余りある。どうか東北人特有の超ねばり強さでこの逆境を乗り切っていただきたい。そして我われ同朋が常に東北に心を寄せることが肝要である。
 
 呻吟語に=大事難事に擔當を看る。逆境順境に襟度を看る。とあるが、今度の東北の皆さんは、見事に大事難事に擔當(どれほど仕事が背負えるかということ)され、逆境に襟度(胸の中。心の出来ばえ)を示され、世界から驚嘆の賛辞が寄せられた。日本人として誇りに思う

論語普及会会長 村下 好伴

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