今月のことば (2013年8月)
朋遠方より來る有り、亦樂しからずや。 (學而第一)
有朋自遠方來、不亦樂乎。(「仮名論語」學而第一 一頁)
之を知る者は、之を好む者に如かず。之を好む者は、之を楽しむ者に如かず。(雍也第六)
知之者、不如好之者。好之者、不如樂之者。(「仮名論語」雍也第六 七四頁)
「全国論語教室交流会」
 六月十五日・十六日の両日、大阪リバーサイドホテルで論語サミットともいうべき交流会を催したところ、全国各地の論語を主教材として日々人と成るための勉学に勵む熱心な同志約三百名が一堂に会し、洵に盛大裡に挙行することができました。
「記念講演会」
 十五日は「漢詩にみる論語のこころ」と題して、本会の顧問で公益財団法人斯文会理事長の石川忠久先生にご講演を賜りました。
 孔子は、
〝詩三百、一言以て之を蔽う。曰く、思い邪無し"と、つまり詩こそ人間の衷情の発露だと述べ、〝詩に興り礼に立ち楽に成る"と、真の君子人として欠くことのできない重要な要件だと説き、〝詩は以て興すべく、以て觀るべく、以て群すべく、以て怨むべし"と、人情・感情の偽らざる表現である…と力説し、息子の鯉に対して、〝詩を學ばなければまともに人との応対も出来ないぞ"と諭しているが、石川先生はさながらそのような風韻を漂わせつつ、聴衆を魅了されました。
「祝宴」
 各地区代表の方々から祝辞と激励のおことばを頂戴し、久々に全国から集う同学の士とて、かねがね交流があり旧交を温め合う姿、初めて会いながら忽ち意気投合して歡談に花を咲かせる人々、他の塾や会の勉学ぶりや、運営の方法などを尋ね合い、お互い今後の参考にし合う姿と、さながら和やかな中にも真剣な求学と人づくりへの意気込みが漲る、雰囲気の張りつめた盛会でありました。
「十六日、聖廟・故地めぐり」
 大阪はご承知のように、三世紀に朝鮮の百済から王仁という学者が、お土産に論語十巻と千字文一巻を携えて上陸し、朝廷に献上した地であり、日本における漢字儒学文化発祥の地と申せよう。それだけに儒学に纏わる神社や学問所跡など、数うるにいとまないが、時間の都合で今回は仁徳天皇陵、応神天皇陵、道明寺天満宮、枚方の王仁墓等四ヵ所を訪ねるにとどまった。
久々の古代の都めぐりは晴天にも恵まれ、文字どおり日本民族のルーツを辿り、孔子ではないが、古にロマンを馳せる一日となりました。
 第一回巡拝会の折に記念植樹した楷樹は各々立派に成長し格好の木陰をつくり、種がおちて子孫が無数に芽萌えて、さながら曲阜孔林の情況を彷彿させるものがありました。
「おわりに」
 始めて企画した論語教室交流会でありましたが、多くの教室から参加があり、論語普及会発会以来四半世紀を迎え、こんなに各地に勉強会が立ち上がったことに感慨無量なるを覚えると共に、この上げ潮をのがすことなく道義国家日本の再構築に一層の挺身を誓う者であります。

論語普及会会長 村下 好伴

Copyright:(C) 2012 Rongo-Fukyukai. All Rights Reserved.