今月のことば (2013年2月)
子貢、政を問う。子曰わく、食を足し兵を足し、民之を信にす。(顔淵第十二)
子貢、問政。子曰、足食足兵、民信之矣。
食を足す
 最近農業の機械化が進み、中には土を使わず工場の中で野菜作りをする風景を見るが、さすがに穀類の工場作りはまだ見受けない。ご神勅に「豊葦原の千五百秋の瑞穂の国は…」とあるが、この瑞穂こそ我ら生命の根元であり、神代の昔から日本人の主食は変っていない。「米」という字を分析すると八十八と読め、つまりそれだけ手をかけ労力をかけねば食することができないことを現わした字である。
 今上陛下も宮中の田に御自から田植をし、稲刈りをして、生命の根元を神嘗祭にお供えになり感謝の誠をお祷りになられる。
兵を足す
 あさゆふに民安かれと思ふ身の
   こころにかかる異国の船

 第百二十一代・孝明天皇のお歌である。開国を迫り、世界の大国の艦船が頻繁に出没してきた頃に歌われた御製である。百数十年も前にお作りになったとは思えない、むしろ今の世にピッタリと
の実感を覚える。
 広大な領土を有しながら、なお周辺海域の領海権を、いやそれどころか海軍力の増強を計り、日本列島を越えて太平洋への進出を目指す動きが見える中国が、洋上の小さい島嶼へ資金援助や投資を行っているとか、それに海にとどまらず、最近は領空侵犯の懸念もある。いずれにしても我が国は、六十数年間に亘り自国の守りの大半を他国に頼ってきた体質を、根本的に改変し「國」という字が示すように戈を持って確りと領土領海を守らねばならない。一寸の土地をも他国の領有を許す国はやがて滅びると云われる。
民を信にす
 大東亜戦争の終結に際し、昭和天皇のただ一言(御詔勅)によってピタッと戈をおさめた日本人。この度の東北大震災の時も秩序を乱さず、整然と救け合い分け合う姿に世界は驚嘆した。
 南北に細長く点在し、岩礁も合わせ数えると島の数が六千からなると云われる日本列島、そこに大和民族という人種がほぼ単一で生活し、当然言語も訛りの違いはあっても北から南まで大体通じ合える。そんな中で生れ育った我々は生一本であまり人を疑うことを知らない。それが又日本民族の最大の特徴であり、たまらぬ魅力でもある。
 
 あやにあやにかしこくもあるかあめつちの
   みいつの中に立ちたるわれは

副島種臣

論語普及会会長 村下 好伴

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