今月のことば (2012年7月)
孔垂長先生ご一家をお迎えして
徳は身を潤し、道縁は無窮にして、悠久は物を成す。
徳は身を潤し、道縁は無窮にして、悠久は物を成す。
 「この六月に孔垂長先生ご一家が千葉のモラロジー研究所へお越しになる」との情報が齎された。スワッこの機会を逃してはならぬ。是非関西へもお立ち寄りいただきたい。
 というのも、且て四條畷山中の成人教学研修所へ、孔子第七十七代嫡裔孫・孔徳成先生をお迎えして以来の孔家と当会との道縁をば代々何としても継続して行きたい、との強い願望を抱き続けて来ており、そのためにも一度第七十九代嫡孫・孔垂長先生を大阪へお迎えすることがここ数年来の課題であった。伊與田学監も「人生は糾へる繩の如しで、先日長年苦楽を共にした妻を亡くしたが、この度は又孔家嫡孫ご一家をお迎えする慶事に浴することができる。これも長生きをしてきたればこその余慶だ」と大へんお喜びになった。
 ご来阪早々さぞお疲れのことと案じつつも、天満宮へご移動たまわり、伊與田学監と共に、正式参拝にのぞまれ、記念講演会場へと誘い、満堂を埋めた聴衆を前に、伊與田学監の研修所当時からの論語によって結ばれた孔家との道縁について満感交々、到底短時間で語り尽せぬ親子三代に亘る交流を縷々述べられた。
 七歳から論語の素読を始められ、今日まで文字通り論語に生き、論語を活かし続けてこられた九十七翁とて、孔家を迎えてのこの感慨は、容易に我らが慮り知れぬ深いものがお有りであろう。
 孔垂長先生は、数度に及ぶ成人教学研修所へのご来山下さったご祖父孔徳成先生のご生前の日常生活に於ける厚徳の有りさまについて親しみをこめて語られた。翌日は孔子はじめ孔徳成先生をお祀りする四條畷神社・有源招魂社へ参られ、神上がりませるご祖父の霊前に深々と禮拝されたのであった。夕刻にはご祖父がご来日の際大へん喜ばれた美々卯のうどんすきを賞味いただき、ご来阪以来超過密な公式行事からやっとお解きして、ご家族共々寛いだ一夜をお過ごしいただいた。
 今回はご一家でご来日とて、やがて第八十代を継がれることとなるご嫡男の佑仁ちゃん、お妹の佑心ちゃんを伴ってのご来日。佑仁ちゃんは皇室の悠仁親王と同年のお生まれ、み名を音読みすれば共にゆうじんである。どちらも〝仁〝の一字を冠しておられ、三世紀以来論語を帝王学に取り入れてこられた我が国ご皇室に思いをいたすとき、愈々益々深まりゆく民族の壁や国境を越えての固い絆による道交を実感したのであった。
 この度の孔家招聘に当り、事前に種々ご配慮賜ったモラロジー研究所に、深甚の謝意を表するものである。

論語普及会会長 村下 好伴

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