今月のことば (2012年1月)
湯の盤の銘に曰く、苟に日に新た、日日に新たに、
又日に新たならんと。(大學)
(述而第七)
謹賀新年 平成二十四年元旦 論語普及会 役員一同 新年所懐

皇紀二千六百七十二年の新春、洵にお目出度うございます。

大内山松のみどりをもれてさす初日はすめらみことの庭へ

新たまります年毎の先ず心に浮び来まするは、御皇室のご安泰と弥栄を寿ぎ、すめらみ民として生を受けし喜びと鴻恩に只々感謝の念が湧き出ずるのでございます。

幼き頃、朝毎に庭に出て東を向き手を合わす老婆の姿を見て、なにか不思議に思えたものでしたが、寿を越えた己自身が今そうしている、そうしないではおれぬ日々となっております。昨年は自然災害多発国にあって、東北大地震による大津波の惨状、紀州地方の水害、果ては原発事故という人災まで加わり、多くの人命が奪われました。

改めてここに心より御冥福をお祈りいたします。

孔子も”迅雷風烈には必ず變ず”と申しておりますが、この世には人智で計り知れぬことが多々ございます。石原都知事が今回の大震災のあとに「天罰だ」と言って物議を醸しておりましたが、あながち不遜として否定し去ることの出来ぬ発言であります。ともあれせめて人と人とが爭い合う人災だけはこの世から無くしてしまいたいものであり、なんとか和を貴び、和樂の世界の現出を熱願いたします。凡そ爭いは欲望によっておこるものであり、そこには破壊はあっても決して進歩発展は望めません。伊勢神宮の御遷宮が平成二十五年に行われますが、世界遺産などには、千年以上・数千年も前の遺物が多く見られます。それに対して伊勢の神様は二十年毎に惜しげもなく建て替えられ甦られ永遠に新たなお姿で在り続けておられるのであります。日本の神は心であり新であり真であり、日に月に年ごとに新たなるをお示し下さっております。

昨年の大災害は、戦後六十数年続いた旧来の陋習を破り、新世日本の曙光と受け取り、波に流されて何も無くなったさら地に新たな槌音の響き渡る年でありますことを念じ上げる年頭であります。

一利を興すは一害を除くにしかず。
一事を生やすは一事を減らすにしかず。
               (蒙古・耶律楚材)

今日本、いや東アジア諸国において、論語の旋風が巻き起こっております。この様な時代こそ本会の使命重大なりと痛感する者です。国難が囁かれる今日こそ論語の精神によって新日本再生の原動力を醸成したいものです。

会員同志の皆さん、共に手を携えて斯の道を邁進しようではありませんか。今年もよろしくご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

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