今月のことば (2011年1月)
子曰わく、朝に道を聞けば、夕に死すとも可なり。(里仁第四)
神州清潔の民

元旦有感。早朝即起し、先ず聖賢の書を繙き、心胸にズシンと響く金言に接し、感悟し欣喜雀躍、飛び出して氏神へ初詣、清明なる自己を得たならば、なんと素晴らしい朝でしょう。天下を清むる真の力が漲り、朝こそすべてで、噫々夕死可なりではありませんか。

読者の皆さん明けましてお芽出度うございます。
昨年は斯道のため格別の御協援を賜りましたこと心より感謝申し上げます。お陰さまで皆さまの熱誠神に通ぜしか、本会結成二十余年にして所期の目的どおり、澎湃として草奔の中から論語熱が高まってまいり、各地に塾や勉強会が簇生しております。地味な活動ながら今日まで弛みなく続けて来られましたのも、一重に地の塩の如きみなさまの陰徳ご仁援の賜でございます。このお志にお応えすべく、社会の機運に逸することなく確り把握し、益々活発な活動を展開し、全国津々浦々から素読の声が聞こえてくるよう一層の努力を致すべく、年頭誓いを新たにしておりますれば、今年も変わらぬご教導ご支援のほど切に念願して已みません。

昨年の国状を顧みますれば、我らが目指す堯舜の治世とは凡そほど遠く、政治においては、一昨年発足した民主党政権たるや、文字通り愚昧政治と申して過言でなき体たらくを現出しました。尖閣諸島問題をはじめ中国の軍事力を背景とした東支那海を乗り越えた東侵への野望。北はロシアの北方領土への触手。韓国が実質支配してしまった竹島。鉱物資源でも安岡先生がご生前常に警鐘を鳴らし続けておられましたが、遂にレアアースに象徴されるように輸出制限される危機を迎えました。資源小国日本にとってこれから他の資源でも同様に色々な圧迫を加えられることが予測されます。

国内に目を向けますと、出生率低下による人口減少、農業従事者減少による食糧自給率の減少、ましてや最近は我が国の清らかな水まで外国資本が狙い、水源の山林まで買い占めて来ておるようであります。

日本の先祖は実に賢明で、我々子孫のために営々として植林保林に努め続けてくれたのです。外国に行って最も不自由なのは生水が飲めないことです。それに比べ日本では手で掬って水がそのまま飲めるではありませんか。先祖のお陰です。その他徳川時代よりの教育立国として、世界に冠たる人材を輩出してきましたが、最近隣国の教育向上は目ざましく、この点でも中国や韓国に首座を開け渡してしまっております。

とにかく今後の日本は色々の面から大変な困難が予想されます。アメリカ依存で貪ってきた平和呆けから覚醒し、褌を締め直し、苦難に立ち向かう覚悟を決める時が来たようです。

元来日本人は、神道の清明浄の精神で培われ清潔の民の遺伝子が流れています。清明なところにこそ無限の英知が湧き出てまいります。資源の無い日本が今日のように発展してきたのは一重にこの神州清潔の民の力に他なりません。

新年にあたり、先ず初詣でをし、吾日に吾が身を三省し、肇国以来の日本精神に立ち返り、先祖が築いてくれた青々たる森、その下を流れる外ッ国の人々も羨む清冽な水の如き心に立ち返って予想される凡ゆる苦難を切り開いて行こうではありませんか。

民族の本ついのちのふるさとへ
       はやはやかへれ戦後日本よ

                      (影山正治)

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