今月のことば (2010年9月)
子曰わく、人にして遠き慮無ければ、必ず近き憂有り。(衛靈公第十五)

〔注釈〕目先のことに捉われず、先の先まで思いをめぐらさなければ、必ず身近な所に思いがけない心配事が起こるものだ。
悠遠で洋々たる計を

『島国根性』という言葉がある。汪洋でこせつかず悠然とした中国人のような大陸性気質に対し、狭量で、こせこせ、ちまちま、せかせか立ち回る日本人のような気質を言い表した言葉らしい。確かに無数の島から成る国である。ちょっと島が気になって地図を開いてみた。

日本名の付いた最果ての島々を線で結んでみると、最北端が択捉島のカモイワッカ岬。そこから太平洋を二千四百六粁南下すると最東端に位置する南鳥島が在る。そして西南に進路をとって千八百九十二粁行くと日本最南端の沖の鳥島がある。この二島はなんと東京都内である。東京から千五百粁以上も離れていようか、太平洋上にポツンポツンと浮かぶ国境標識の島である。沖の鳥島から西へ千四百二十三粁辿ると琉球最南端の与那国島で、ここが日本の最西端である。最近ここの島民は自衛隊の駐留を要請してきたが、自民党から民主党政権に替わってからは、この問題は棚上げ状態、それどころか事業仕分けとやらで防衛費まで削られ先が見えず島民は不安な日々を送っている。

さて与那国島から東支那海を北上すると対馬に着く。この島は現在韓国人観光客がきて汚しまくり、不動産屋が島の土地を買い占め、「対馬は韓国領」などと暴言を吐いている有様だ。ここから北は日本海、この日本海という名さえ韓国人は気に入らないらしくて、「東海と呼べ」と世界へアピールしている。また、日本海に浮かぶ竹島を韓国領だと主張し、着々と実効支配に向け実力行使を行い、韓国名で『独島』だと毒づいている。この竹島から北上して北海道宗谷岬沖を東進し、もとの択捉島カムイワッカ岬と線で繋ぐと、広大な海が日本の領海となる。嘗て日本が統治していた周辺の陸地は敗戦によって返還させられたが、まだこんな広い海域がある。狭い陸地だけが領土では無い。将来は間違いなく海の時代が来るであろう。こうなると竹島も南鳥島も沖の鳥島もただの岩礁に非ず、他国に指一本触れさせてはならぬ大事な国境標識島である。天恵の大海を擁しながらその海を一向に守ろうとしない能天気な政府を見ていると歯痒い限りである。

これに対し悠遠なる大陸性気質を有する中国人はさすが炯眼だ。未来は『海』とばかりに、五十年百年先を見据えて、自前の空母を建造し、潜水艦を増艦するなど、海軍力増強に余念がない。すでに東支那海や南支那海はかなり制海権を握って来ている模様で、あくなき野望は、今や小笠原諸島から南へグァムに至る線にまで進出してきているようだし、更に以前は日本の信託統治でもあった太平洋の島嶼の島々に、経済援助の名のもとに金をバラまき、周辺海域の制海権を狙っているような動きが窺える。

只でさえ少ない防衛費を事業仕分けとやらで、まだそれを削減し、他国の感情を思い計って、竹島と書いた防衛白書の承認を見送ったりと、民主党の現状は日本国の政権党という認識が無いのであろうか。

且つては七つの海を雄飛した海洋国日本、野望逞しい中国に遅れをとってはならぬ。井の中の蛙のごとき島国根性を捨て、今こそ島国『ど根性』を発揮せねば国の将来が危ない。

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