今月のことば (2010年3月)
季康子、政を孔子に問う。孔子對えて曰わく、政は正なり。子帥いるに正しきを以てすれば、孰か敢て正しからざらん。(顔淵第十二)

(注釈)魯国の家老の季康子が政治の要道を孔子に尋ねた。孔子はそれに答えて「政治は正であります。貴方が率先して正しい行いをされたら、誰が不正などしましょうや」。
政は正たれ

民主党新政権が発足早々から政治家と金の問題が噴出している。小沢幹事長の資金管理団体「陸山会」の政治資金規制法違反事件では、問題はそれ以前の政治家としての道義的資質を問いたい。苟も国民の範たるべき政治家としての自覚有りや、と問いたい。己の股肱とも云うべき部下が三名も逮捕されたというのに、知らぬ存ぜぬで通す積もりなのか。益々銅(貨幣の悪)粉々たるを覚える。武士道精神から言えば、部下の過失は上司が責任をとるのが通例であった。

子曰わく、晉の文公は譎りて正しからず。
     齊の桓公は正しくして譎らず。   (憲問第十四・仮名論語二〇九頁)

子曰、晉文公譎而不正。齊桓公正而不譎。


〔注釈〕晉の文公は謀略を用いて正道によらなかった。齊の桓公は、正道によって謀略を用いなかった。

民主党が選挙に臨むに当たって掲げたマニフェストには、子ども手当、高校授業料無料、高速道路料金無料など、民衆の耳ざわりの良いものばかりを列挙していたが、いざ政権を握るや途端にマニフェストにも無かった、外国人参政権付与・夫婦別姓・靖国神社に代わる国立追悼施設などの、非常に危険な法案提出を画策しはじめた。特に外国人参政権付与問題は明らかに憲法違反である。「参政権は日本国籍を有する国民に限られる」と明記されている。畏れ多くも天皇陛下を政治利用した時の弁明には、憲法の文言まで引用してそれを盾に強弁しておきながら、今度は明らかな憲法違反の法案を提出するつもりなのか。しかも「この法案は在日韓国居留民団との約束だから」だそうだ。自国民には間際まで知らせず、国民の意志も問わずに、外国人との約束を果たそうというのか。国民を欺く謀略以外のなにものでもない。選挙権が欲しいなら帰化せよ。それで済むことである。

いのちを守る政治とは
鳩山首相の施政方針演説では、二十数回「いのちを守りたい」と叫ばれた。洵に結構なことで是非成果を期待する。しかしあの演説中に只の一度も国防ということばが出なかった。いのちを守る最も喫緊で切実なのは、外国からの侵攻に対する備えを万全にしておくことではないのか。苟も一国の宰相が「国民の生命と財産を守る」ための具体策や決意表明が為されるのは常識ではないのか。それでこそいのちを守る政府と言えるのではないか。経済発展に伴い、軍拡に明け暮れる中国、一つ間違えば何をしでかすか分からぬ北朝鮮など、それらに対し、もしもの時を想定して出来る限りの処置を講じて少しでも国民に安心感を与えてこそ、宰相の最大の責務ではないか。友愛だ、いのちを守ると叫んでさえいれば国家が安泰と考えているようなお坊ちゃま宰相では、国民は夜もおちおち寝られない。

Copyright:(C) 2012 Rongo-Fukyukai. All Rights Reserved.