今月のことば (2009年1月)
孔子曰わく、君子に三畏有り。天命を畏れ、大人を畏れ、聖人の言を畏る。(季子第十六)
日本は祈りの国

皇紀二六六九年・平成二十一年・元旦。
お芽出とうございます。
今年も相変わりませず、宜敷くお願い申します。

元旦払暁に起き出で皇居に遥拝しながら、「今上陛下も四方拝の御儀を執り行っておられることだろう」と宮中に思いを馳せております。四方拝という言葉を知る人も最近は稀になり、「四方拝ってなに」と聞かれることが多くなって来ました。歳時記を見ますと、『元日払暁、天皇が天地四方、並びに山陵を遥拝されて世の平安を祈られる儀式、戦前の四大節(天長節・紀元節・明治節)の一つとして連綿と行われ今日に至っている。(皆吉爽雨)』とあります。

四方拝大日の丸を立てんかな  大野洒竹

戦前の元朝を知る者にとっては懐かしい風景で、家々の門前に日章旗がはためいていました。旧皇族で明治天皇の玄孫に当る竹田恒泰氏は、「天皇とは祈りの存在」と端的に述べておられます。文字通り元旦の四方拝に始まり、一年間主な祭禮だけでも数十回に及ぶ祈りの連続で、事ある毎に祖霊に対し天地萬物に対し感謝を捧げられ、そして国民の安寧を願って祈られるのであります。その他の国事事項・諸行事を合わせ、一般の者では到底耐えられぬ激務ともれ承っております。特に今上陛下・皇后の両陛下は皇室の古禮仕来りを殊の外重要視され、厳格に施行されている由であります。

皇后陛下  神まつる昔の手ぶり守らんと
           旬祭に発たす君をかしこむ


またここ数年来大東亜戦争の激戦地となった沖縄をはじめサイパンや硫黄島など同朋玉砕の島々を慰霊巡拝に訪ねられました。

硫黄島ご慰霊にて
天皇陛下  精魂込め戦かひし人未だ
          地下に眠りて島は悲しき


皇后陛下  慰霊地は今安らかに水たたふ
          いかばかり君ら水を欲りけん


国内では震災や自然災害の地に心をお痛めになり、各地をお見舞いになっておられます。

阪神淡路大震災より十周年を迎え
天皇陛下  嘆かひし後の眼の冴えざえと
          澄みゐし人ら何方に住む


皇后陛下  笑み交はしやがて涙のわきいづる
          復興なりし街を行きつつ


只々畏ききわみであります。
孔子は「天命を畏れ、大人を畏れ、聖人の言を畏る」と述べ、「丘の祷ること久し」と云って常に祈っておられました。

こんな話を聞いたことがあります。
ある唯物無神論者が、三方を壁に囲まれた所へライオンが一方から襲って来た時にその人の吐いた言葉は、「神様!」だったそうです。所詮人間は、大自然の前には弱いものです。そのことは、最近の地球環境の悪化が如実に物語っております。一刻も早くこのことに気付き、萬物に畏敬し謙虚に感謝の祈りを捧げなければ地球は救われません。日本は実に有難い国です。皇室こそ「祈りの存在」なのですから。

我らくにたみ、皇室の弥栄を祈り、永遠の萬歳を叫ばずにはおられぬ御世の春です。

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