今月のことば (2008年10月)
祭ること在すが如くし、神を祭ること神在すが如くす。(八佾 第三)
一以て之を貫こう

み〜んみんみ〜んみんみん蝉すだく
しじまに神をいざなうごとく


四條畷神社の境内に鎮もります『有源招魂社』の第二回例大祭先哲祭が、去る九月十五日(敬老の日)に、八十数名のご参列のもと厳かに執り行われた。東は千葉から、西は九州、山口、広島から、熱い思いの道人相集いて……。日本国の祖神・天御中主大神・天照大御神・大物主大神の三神を中心に、孔子をはじめ安岡正篤大師に至る内外の先哲二十九御祭神、片や我々後輩をこよなく愛でられ、教えて倦まざる態にて導き下され、自らは国を憂え世の行末を案じられ、それこそ己を顧みざる捨身奉公の誠を尽くされ、我らに範を垂れさせたもうた諸先輩物故者、今年新たに神上りませる八柱を加え、実に三百二柱の物故者が合祀された。参列者の中には御遺族もおられ、故人の偉大なご遺徳を偲びつつ、ありし日の面影を瞼に浮かべ、文字通り神そこに在すが如き思いで熱祷を捧げたのであった。

今年は社前に新たに由緒板が設置された。使われた石板は、なんと前成人教学研修所のシンボルであった安岡正篤先生作「研修所の壁に題す」の詩を刻んだ詩碑に嵌められた庵治石なのである。碑石に嵌めるに分厚く、半分に削ったその半面が残っていたのである。庵治と言えば且って若き学徒が自らの練成のために毎年無人の島『何陋島』で鍛練に励んだ所である。島へ渡る時必ず庵治の町を通り、渡し舟に乗った思い出の地である。安岡先生も何度か訪ねられ、先生の書かれた万葉歌が海辺の石碑に刻まれている。庵治石とはこの地の特産で世界にも稀な名石として知られる。

庵治の里 愚なるが如き 君子人
   おほく住まへる 瀬戸のよき里


この石に神社の由緒が刻まれ、有源山以来の尊い御神徳が永遠に顕されることになった。

又社前左には、孔子木『楷樹』が記念植樹された。この苗木は、今年新霊として祀られた元松下電器産業の社員教育に携わられ、退職後は成人教学研修所教官としてご奉仕下さり、解散後も引き続き論語普及会に奉仕された故北川泰蔵氏が、下山の途次に有源山に発芽したものを家へ持ち帰り、丹精こめて育てておられたものであり、文字通り曲阜孔林より続く子孫の苗が社前に植えられたのである。

師をしたひ 子貢がうへし 孔子木
   今ぞ根づかん 有源神社に


列席のご遺族和美夫人が万感の思いを胸に土をかけておられた。

安岡大師逝かれて早や二十五とせ、参列者の多くが先生からすれば孫に当るような年令層が多く見受けられる。論語に登場する孔子の弟子たちも大半が孫のような若者たちである。その若者たちによって論語が編まれ、道統が継がれ、そして孔子の偉大なる教が世に知られるようになり、やがて世界の大聖人と崇められるようになった。

安岡先生を尊崇し、斯道に励む我ら、愈々草奔崛起の時来る。猶興の志もて千万人と雖も吾往きて国難に処そうではないか。

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