今月のことば (2007年8月)
政は正なり。子帥いるに正しきを以てすれば、孰か敢て正しからざらん。(顔淵第十二・仮名論語172頁)
八月十五日が近づいた。ここ数年来、この日が近づくと靖国神社のことで内外ともに喧しいが、今年はどうだろう。純粋に国のためと信じて散って逝った若人の御霊の鎮もります森、願わくば静かであってほしい。
昭和天皇の御製に次のようなのがある。

国のためたふれし人の魂をしもつねなぐさめよあかるく生きて
           (昭和三十七年)
 心せねばならぬことだ。

  安倍政権が誕生して来月で一年を迎える。就任早々に中韓を訪問して大歓迎を受けた。二ヶ月ほど前まであれほど頑に靖国問題で突っ張っていた中国がである。いかに政略的一手段であったかを窺い知ることができる。

 以来首相は「美しい国日本」をつくり「戦後レジームからの脱却」を掲げ、戦後の歴代首相が口にするさえ憚ってきた諸懸案を次々と成立させていった。我々が待ちに待った新教育基本法が成立し、完璧とは言えぬまでも「豊かな情操・道徳心・公共の精神・伝統文化の尊重・国を愛する態度」など長年に亘り念願し叫んできた文言が明記されたことは洵に喜ばしく、真の教育のあり方に対する指針が示された。

また核をはじめ軍拡に余念のない近隣諸国の脅威は、四方の海に波立ちさわぐ気配を感じる昨今、国防を他国に頼りきっていたものを、漸く自国は自分で守る気概を示すべく防衛庁の省への昇格が決まった。そして今年に入って、首相が在任中に成立を目ざしたいと願う新憲法制定に向けての手続きとして、国民投票法が成立した。

 いずれも国家百年の大計に対する、その根幹を成す諸法案であり、全智を傾け勇気ある決断を下して次々に成立させたことに満腔の敬意を表する者である。今後はこの敷かれたレールを、脱線することなく走行するために、誤りなき運用を期し、そのために良識ある国民が一丸となって協力し共に進む時が来た。

 全ては六十年間積もり積もった積弊を大掃除する、その緒に就いたのである。いろいろの困難が予想されるが忍耐強く掃い除けて行き、美しい日本を次代を担う者へバトンタッチすることが、戦後を生きここまで国柄を歪めて来た我らの責任において果たすべき使命である。

 七月二十九日は参議員議員通常選挙の日であり、本紙が読者の手もとに届く頃は、すでに結果が出ている時だが、ここへ来て年金記録五千万口不明問題や、相次ぐ閣僚の不祥事や失言による交替があり、マスコミや野党は首相への支持率低下を叫んで喧しいが、今回の選挙は国会議員を選ぶというより、国民の良識を見極める選挙と言えよう。久々に正論を述べ、国の正しく進むべき道を歩まんとする首相の出現を見たのである。勤勉で誠実で賢明な日本民族が、野党やマスコミが騒いでいるような瑣末な問題で動揺し、進路を誤るはずが無いと信ずる者である。
 『政は正なり』首相は些かも動ずることなく今の政策を推し進め突き進んで行っていただきたい。

  ”至誠にして動かざる者、未だ是れ非らざるなり “
 首相が尊敬して止まぬ吉田松陰は、孟子のこの語を己が信条とした。どうかこの語を胸に、国民の先頭に立って改革に邁進されたい。

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