今月のことば (2007年1月)
子曰わく、詩三百一言以て之を蔽う。 曰わく、思邪無し。(為政第二)
忠臣たちの歴史を肥に

皇紀二千六百六十七年・平成十九年の新春

明けましてお目出度うございます。昨年は会員の皆様の並々ならぬ熱誠が犇ひしと伝わって来る一年でございました。お陰さまで成人教学研修所が閉鎖され、下山しましてよりこの方漸くその基盤の固まるのを覚える昨今です。之れ一重に皆様の御仁援の賜と深く感謝申し上げます。何卒本年も相変りませず、倍旧の御協賛御鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

元旦や一系の天子富士の山         鳴 雪

なんと素晴らしい句でしょう。今年は一入この句の感興を強くいたします。実は昨年末『瓠堂忌』(安岡先師を偲ぶ会・先生のご命日は十二月十三日)に参列しましたが、その折、新幹線車窓に一天雲無く、中腹まで雪を冠り朝日に映える銀嶺の輝きを彷彿する富士を拝することが出来ました。いつも上京の時は期待して窓際に席を取るのですが、中なかこんな見事な富士に会うことは滅多に無く、思わず席を蹴ってデッキに飛び出し、胸を高鳴らしつつしばし一人で見惚れ、これぞ『美しき国日本』を堪能しました。

昨年は皇室典範改正に対する有識者会議の答申が出され、女性女系天皇容認と云った過去に例を見ない事態も予想されましたが、二月に秋篠宮妃殿下ご懐妊の発表、九月に無事男子親王殿下御誕生あそばされ、このご慶事に日本国民は申すに及ばず、海外からも惜しみなき祝福を受けました。この想を目のあたりにして、皇室の御稜威の厳然たるを改めて痛感した次第です。

戦後の日本は、連合軍の占領政策とそれに便乗して天皇制廃止を企らむ左翼思想家教育者によって、神代より天皇を中心にして展開して来た我が国の国体の歴史を殊更に排除し、戦後生れの国民は、神話はおろか、道鏡と和気清麻呂の事件、楠公父子の物語り、幕末明治の幾多の忠臣英雄の歴史を歪曲又は抹殺され、ほとんど教えられずに育ったのでありますが、数年来の皇室御継嗣の問題が持ち上るや、俄然これらの歴史にスポットが当てられ、否応なく国民の意識に甦って参りました。深い歴史に根ざした事実を覆すことはできません。

孔子は周王朝の衰微して行くのを深く憂え嘆き、なんとか周建国当初の盛代を復元したいと夢みつゝ、その夢は所詮叶わぬことと知りながらも追い続け、遂に一生を棒に振った人で、孔子こそ周王朝の大忠臣だったのです。


かくすればかくなるものと知りながら
         已むに已まれぬ大和魂     吉田 松陰


洋の東西を問わず忠臣の歴史こそ人類の肥でありエネルギー源であります。
今年も論語をはじめ諸忠臣の歴史言行を大いに学び攝取し、活気溢れる清新の一年としようではありませんか。

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