今月のことば (2006年12月)
子、衛に適く、冉有僕たり。子曰わく、庶きかな。冉有曰わく, 既に庶し。又何かを加えん。曰わく、之を富まさん。曰わく、 既に富めり。又何かを加えん。曰わく、之を教えん。(子路第十三)

[通釈]孔子がお隣りの衛の国へ行かれた時、弟子の冉有が馬車の御者となってお供した。衛の都に着くと孔子は「なんと賑わしいことか、人がたくさん居るな」。それを聞いて冉有が「はい多うございます。もし先生がこの国で政治を執られたとしたら次はどんな施策をなさいますか」、孔子「人民を裕福にしてやりたい」、冉有がたたみかけて「人民が裕福になったら、次はどんな政策を施されますか」、孔子「そりゃ教育だよ」と。
平成十八年も余すところひと月、翻って我が国一年の首尾やいかに!!

庶きかな 人口問題
出生率がついに平均一・二五人となり減少時代に入った。政府は担当大臣まで設けて対策に乗り出した。一方外国人の流入が増え、労働不足を補い、各国とより交流の深まるのは結構なことだが、不法滞在や密入国と、流入する人の質が問われる。現に外国人による凶悪犯罪の激増で益々治安が悪化し深刻な社会問題となっている。早期抜本対策が待たれる。

之を富まさん 国民生活の現状
敗戦直後、廃墟と化した祖国へ、外地で戦っていた将兵たちが九死に一生を得て帰還し、「どうせ戦地で死ぬ筈だったこの身、はたで死んで逝った戦友たちの身変りで」と捨て身で遮二無二働いてくれた先輩達のおかげで、飢えは解消し、著しい復興を遂げ、戦勝国といって威張っていた近隣の国々を尻目に、見るみる世界中が羨む経済大国にのし上がった。こうなると人間の欲望はきりが無く、飽くなき利欲と貪り、とうとうエコノミック・アニマルと呼ばれるに至った。そして去年あたりから、時代の寵児ともてはやされたエリートの若者がマネーゲームを駆使し、あわや経済の戦国時代現出かと危惧される状態にまで至った。
『過ぎたるは猶及ばざるが如し』(先進第十一)で、こんな守銭奴若者が出るのもバブルを頂点に、老若男女なべて奢侈放埒の限りを恣にして国民総拝金主義者に育て上げた結果である。今や己の欲望を満たすためには人を殺めて憚らぬ餓鬼どもが増え、文字通り修羅地獄を見るような報道が溢れている。

之を教えん 教育は国家の急務なり
小泉前首相は、就任早々「米百俵」を引き、愈々教育の改革に取り組むかと期待したが、郵政民営化の成立に血道を上げ、結局教育基本法改正や自主憲法制度など、国家百年の指針たる法案はみな先送りして安倍内閣へバトンタッチしてしまった。それでもその退きようは見事で、出所進退の模範を示して去った。それと内外の批判に屈することなく、公約通り八月十五曰靖国神社参拝を果たしたのは立派の一言に尽きる。これで浮遊動物の如き戦後の曰本人に精霊の心柱が打ち込めた。
九月に発足した安倍内閣は、前首相のし残した教育の改革を一番に取り組み、教育基本法改正に向け全力を上げており、この十一月十六曰にも衆議院の通過を目ざしていることはまことに喜ばしい。これでやっと常識が普通に動くようになった感がする。但し急ぐ余り、「お社造って魂は入らず」とならぬよう一層慎重に実のある内容にして成立させていただきたい。特に崩壊して行く家庭の再構築が急務である。今や朝ごはん抜きで登校する児童が急増していると聞く。いかに家庭が異常であるかに思い当る。
戦後生れ最初の首相が誕生した如く、幼少年を持った親たちは、占領政策や曰教組による偏向教育を受けて育った人たちであり、子育てにしてもなにが普通か迷っている人もたくさん居る。このことを直視して改革に取りくんでいただきたい。

おわりに
なんと言っても今年の最大のハイライトは、世界中から祝福され、曰本国中が喜びに湧いた悠仁親王皇孫殿下の御生誕のご慶事であった。ひたすら『聖寿の萬歳』を唱え奉り、今年の有終の美を飾らせていただく。

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