今月のことば (2012年12月)
曽子曰わく、士は以て弘毅ならざるべからず。
任重くして道遠し。仁以て己が任と為す。亦重からずや。
死して後已む。亦遠からずや。(泰伯第八)
曽子日、士不可以不弘毅。任重而道遠。仁以爲己任。
不亦重乎。死而後已。不亦遠乎。

(泰伯第八 仮名論語・一〇二頁)
〔注釈〕曽先生が言われた。士たる者は度量が広く包容力が有って意志強固でなければならぬ。それは任務が重く、道遠しだからだ。仁道の実践こそ己の任務である。なんと重いではないか。全力で死ぬまでこの任に当る。なんと道遠しではないか。

 平成二十四年・壬辰の年も余すところ旬日となりました。振り返って皆さん今年のご首尾はいかがあられましたでしょうか。論語普及会におきましては、何よりも本会当初からの大目的たる普及活動におきまして、今日本全国各地に陸続として勉強会が立ち上がって来ており、洵に喜ばしい社会現象が起きております。この機を逸することなく、一層の普及振興を計るべく、来年の挺身奮闘を誓う次第であります。
 又、今年当会最大の慶事は、六月に孔家ご一家をお招きできたことであります。その節は会員諸
賢の親身のご協援を賜り、盛大に、親密にお迎えできたことは有難い極みでございました。申すまでもなく当会と孔家との直接の道縁は、現当主のご祖父に当られた孔徳成先生からのご縁でありまして、徳成先生は、四條畷山中の成人 学研修所時代から都合四度の来日来阪を仰ぎ得て以来、こちらから毎年台湾を訪問した際は、釋奠祭で超ご多忙の中を割いて歡宴にご家族で参列下さる栄を賜っており、それが今第七十九代の孔垂長先生ご一家と文字通り世代を超えて孔家との交流が続いておるのであります。東洋の政治道徳思想の淵源はなんと云っても孔子の生きざまを知り学ぶことであり、それを導く 典こそが論語であると申せましょう。二千五百数十年に亘り、人類の生き行く羅針盤として読み継がれ、我らに誤りなき歩みの道を指し示してくれるこの聖典こそ、世の中が紊乱すればするほど濁れる海に立つ燈台の如く光を増してきてくれております。最近の報道に見る、日本人が今までに見たことも聞いたこともないような凶悪犯罪の数々は目を覆いたくなり耳を塞ぎたくなり、たまらない嫌悪に襲われ、こんな濁世をこのまま子孫にバトンタッチさせることはできないと深慮致しておるところであります。幸い長寿社会に生かされ、戦前の修身や儒学道徳の教育の貴さを知り、戦後の乱れ逝く世の様を具に経験してきた後期高齢者の我々こそ一大奮起して、世道人心の大掃除に、捨身奉行せねばなりません。昨日筆者と同年輩の石原都知事が辞任されました。新党を結成して世を掃除せんと決意されたようでありますが、大きな刺激を覚えました。よーし来年は年を忘れ頑張るぞー、との決意を新たにしておる所です。みなさん、年頭心を新たにして、世のため人のため後世のために、一灯を掲げて進もうではありませんか。

論語普及会会長 村下 好伴

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